■特集「美しい国づくりと観光」座談会
1 川越のまちづくり、その成功の秘訣は?
2 さらなる観光都市「川越」をめざして −観光インフラ整備−
3 期待される測量業と測量業再生のヒント

 
 
期待される測量業と測量業再生のヒント
   
西澤

私ども測量業界は、公共事業の減少、価格競争の激化、原価の悪化など厳しい経営環境の中で、何とか生き抜いていこうとしています。川越のまちづくりに関連して、測量業界・測量技術者に対する激励の言葉をいただきたいと思います。

   
舟橋 先ほど近津先生から測量技術の最先端の話を聞きまして、今日は大変いい勉強になりました。私どもも測量設計の仕事を民間会社に委託して、測量図や調査報告書、計画図や設計図を作ってもらうのですが、直ぐに役立たなくなって、また、作り直すということを繰り返しています。多少の時間変化にも対応できて有効活用できるような成果の作成を測量設計技術者の方々にお願いしたいと思います。

また、測量というのは決められた仕様に従って単に作業するだけだと思っていたのですが、今日は、次の川越の開発計画の指針となるような画像を見せていただき、測量界の技術レベルの高さを初めて理解しました。これからも新しい技術を用いて、より良い仕事をしていただけるよう期待しています。

   
西澤 市長さんは弁護士でもあるわけですが、測量士も弁護士・税理士・公認会計士と同様に、さむらい士という字のつく「さむらい士業」です。気合を入れて測量界は頑張りますからご指導をお願いします。
   
舟橋 私が弁護士会長をやっていた時、「士業」が集って会をつくったことがあります。一人のお客が仕事の内容によって頼む先を変えやすいように、様々な士業から成るネットワークの仕組みを考えました。これはどういうことかというと、「士業」は高度な知識を使って指導助言するサービス商売であって物を売るわけではありませんから、そのことをお客に理解してもらって、コンサルタントを有効に活用していただこうと思ったのです。測量にはこれだけの技術があるのですから、同じ「士業」の仲間として頑張ってください。
   
西澤 川越の生き方から、不況で苦しんでいる測量業が立ち直り、今後も発展していくための道筋のヒントを沢山授かりました。会社経営もまちづくりも、基本は同じだと認識しました。これらのヒントを、敢えて整理させていただきました。
   
  焦って目先の事だけに囚われることなく、先を見通した長い目で、こつこつと地道な経営を行う姿勢が大事。継続は力。
時代の流れに迎合せず蔵造りを守り続けることで川越のブランドが確立されたように、プライドと自信をもって他社に無い個性技術に力を注ぎ、それをブランドに育てること。他社の追随を許さない製品やサービスであれば、売上高・収益高で負けても、立ち直りができる。自社の製品・サービスが如何に公共的に役立つかを理解して仕事をすれば、そこに根ざした企業家精神や技術者魂は、脈々と受け継がれる。「プライドでブランドを」が、これからの企業経営のキーワードの一つ。
市内では大正浪漫夢通り・蔵造り・喜多院などの観光スポットがネットワーク化され、郊外では秩父・所沢・越生・伊香保などのネットワークがあり、それぞれ観光資源として機能しているように、測量も、ばらばらになった孤立点の商品ではなく、ネットワークで繋がった調和のとれた線・面の製品・サービスを提供することが、経営の広がりと連続性を生む。
観光客の求めているものを常に意識し、川越商人が知恵を絞ってリピーターに来てもらえる色々な仕掛けを作ってきたように、測量もクライアントのニーズをいつもキャッチアップし、「士」のインテリジェンスな知恵を活用して、顧客パートナーとして繰り返し発注してもらえる仕掛けを作ること。
伝統的な蔵造りの町に新しい息吹が注ぎ込まれたように、伝統的な測量技術に新技術を導入して、新しい商品・サービスを提供することで顧客満足を得る。
蔵造りは大学の先生や建設コンサルタントが色々な場所で宣伝してくれたように、測量も良い製品・サービスを提供すれば、自分に代わって客がそのPRをしてくれる。
観光客を画一的なマス集団として扱う時代は終わり、自分探しの自分だけの観光が求められているように、測量も画一的な仕様の仕事は終わり、顧客毎に異なったニーズに応えていくこと。
 

川越の生き方を学びながら、われわれ測量業がこれからの時代をどのようにして生きていくべきか、自ら苦しみながら模索して行く事に本当の価値があるのではないでしょうか。

本日は、どうもありがとうございました。

   
冊子について
編集発行人より
掲載メディア紹介
町の情報
編集長の小江戸ブログ
まち歩きツアー
川越散歩マップ
特集
職人ものがたり
まちづくり座談会
 
あすまや
小江戸まるまる屋
カワゴエール
鼠屋ちゅう吉
さいたま絹文化研究会
川越きものの日
Copyright (c) kawagoe mukashi kobo. All rights reserved. web master info@blue-web.net
編集発行人より掲載メディア紹介編集長の小江戸ブログ
まち歩きツアー川越散歩マップ職人ものがたりまちづくり座談会お問い合わせトップページ